非常用発電機は法令により定期点検が義務付けられています。
負荷運転試験とは非常用発電機の運転試験の際に、実際に発電の負荷をかけておこなう性能試験です。発電機のエンジンをかけるだけでは正しく発電がおこなわれるかの検査はできません。負荷運転試験には実際の設備によって負荷をかける実負荷運転試験と、負荷運転装置による模擬負荷運転試験があり、前者は設備の停電などを伴うため負荷運転試験の実施を困難なものにしていましたが、現在では負荷試験機により施設の停電をすることなしに負荷運転試験ができるようになっております。
以前より自家発電設備には消防法第17条3の3の規定により定期的な点検及び消防機関への報告が義務づけられており、1年に1度の総合点検時に負荷運転を実施することが求められていましたが、高額な費用や設備全体の停電が必要なことにもあり、負荷運転試験を行わずに点検報告書の曖昧な記述による申告をするなど正しく法令の運用がされているとは言い難い状況でした。
そのような中で平成23年の東日本大震災などの大災害もあり、改めて非常用発電機の点検の重要性が見直され、その後の点検報告制度の見直しなどにより点検報告書には負荷測定数値と測定機器明記が必要になるなど曖昧な記述が認められなくなりました。
自家発電設備の点検方法が改正されました
平成30年消防庁告示第12号(平成30年6月1日)により、自家発電設備の点検方法が改正されました。
改正前 | 改正後 | |
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発電機点検 | ・1年に1回の負荷運転試験 |
1年に1度 6年に一度 |
負荷運転試験に代替できる点検方法として新たに「予防的な保全措策」と「内部観察等(小分解整備点検)」が追加され、予防的な保全策を講じていれば今まで1年に一度義務付けられていた負荷運転運転試験が6年に1度、さらに内部観察等をおこなえば負荷運転試験をおこなわなくもてよくなりました。一見すると条件が緩和されたように見えますが、実際は予防的な保全策をおこなう場合には5時間程度、内部観察は2日~3日の作業時間がかかり、その間は同等の代替発電機をレンタル設置しないとならず費用も時間も必要となりますので、毎年の負荷運転試験をおこなうことをお薦めします。
予防的な保全措策 | 内部観察等 | 負荷運転試験 | |
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点検内容 | 指定部分の点検と消耗品の確認交換 | 発電機の小分解整備点検ほか | 施設の設備または負荷試験装置による負荷運転試験 |
作業時間 | 4時間~5時間程度 | 2日~3日程度 | 2時間程度 (負荷試験装置使用の場合) |
作業中停電時の バックアップ電源 |
必要 (同等発電機仮設) |
必要 (同等発電機仮設) |
不要 (使用不能時間が40秒以内のため) |
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